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5年後、10年後の自分はどうありたいですか。今後の抱負を聞かせて下さい。

16でデビューして私は漫画家になるんだと思ってなれなかったように、こうなりたいと思ってもなれないことの方が多かった。実際集英社でデビューすること自体があり得なくて、みんなから信じられないって言われたから。私が『コーラス』の本誌に載ることはまずないだろうって周りの人含め編集さんも全員思っていたと思うけれど、載ってしまっているし、有難いことに連載まで持たせてもらっているというのは、本当に考えられない。考えたことがなかったようなことなのよ。

だからこうなりたいっていうのと違ったし、遠回りもしたかもしれないけど、こうなるべきだった、とも思っているのね。自分がこうなりたいっていうよりも、割とそうさせてもらえるっていう感じ。理想と現実って言うととても冷たく聞こえるけれども、チャンスを与えられたら逆らわずにやっていきたい。「私はこっちに行くのよ」とか決めないで、わりと勘で「こっちの方がお花が咲いててきれいね」とか「日当たりがいいから嬉しいわ」とか、地図を持たないでやっていこうと思っています。こうなりたいってガチガチに決め込まない方がいいと思う。それやると、疲れるっしょ。例えば今日どうしてもこれこれ行かなきゃいけないって決めちゃってると、本当は出会えて幸せになれるはずの相手に会えなかったりするから。その辺は臨機応変に、とりあえずベーシックな部分では人間らしい生活ができて、友だちがいっぱいいて、作品が描けるのがいいと思ってます。


味があるベテランさんの漫画もあれば、時代遅れになる漫画もあります。自分の漫画が古くなるとか、若い人についていけなくなる不安はないですか。少女漫画家としての息の長さについて考えていることは?

自分で少女漫画を描いてるって感覚がないです。漫画を描いているって感じで。それは別に少女漫画を軽蔑しているってわけじゃなくて、もともと少女漫画はフィールドがものすごく広いわけ。ただ、大手出版社の少女漫画に限って言えば、男女間の恋愛が中心だから、ほかのものは排除してしまう。もともとも少女漫画は、萩尾望都がいて、大島弓子がいて、山岸凉子がいた土地だから、何を描いても新しくないんだよ。『レタス』なんかも新しく見てもらえるけど、萩尾先生とか大島先生のやってきたことのおさらいをやっているだけだから。

私は少女漫画を小さく見る人の気持ちがよく分からない。書評とかで、「少女漫画の枠を越えている」とか、「少女漫画家とは思えない」とか、それがあたかも褒め言葉であるかのように言ってるのがとても我慢ならない。私は常にその時自分が面白いと思うものを描きます。それから、“描きたい作品”と“世の中の人に描かせてもらえる作品”は別なんだけど、『レタス』は後者で、周りの人が描かせてくれていて。自分で描けると思っている話ではなかったので、これはとても幸福な出会いなので、大切にしていきたいなと思っています。あんまり少女漫画っていう観念もないし、恋愛ものっていう観念もないから、描きたいように描いていきます。だから恐怖もないです。


ありがとうございました

<< 編集後記>>

インタビュー第1回、ということで松田さんからは「ジュリエッタ 田中」というペンネームを授かりました。これを使う日は来るのだろうか・・・?

いくえみ綾先生の作品で中高生時代を送ってしまったタナカには、グルーヴ感という言葉の意味が痛いほどよく分かる。それによって自分のなかで「少女漫画とはこういうものだ」と限定してきてしまったことも、今回自覚した次第です。松田さん、その壁を取っ払ってくれて、ありがとう。

漫画に浅ましいまでの生活感を追求する松田さんには、イギリスのケン・ローチ監督作品、特に『リフ・ラフ』『レディバード・レディバード』辺りがお勧めです。


号外:松田奈緒子、日本映画を斬る!



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