2003年03月15日
失敗の許されない仕事 スペースシャトルに思ふ
2003年2月、残念なことに宇宙船「コロンビア」は地球に帰ってこなかった。1986年、「チャレンジャー」が空中分解してしまったのが、まだ記憶に新しいというのに。
でも、同じくらい驚くのは、先回の「チャレンジャー」から今回の「コロンビア」まで、87回もスペースシャトルが飛んでいたことだ。日本人飛行士が乗っていなければ、日本ではニュースにならない。あの向井千秋さんが最初に乗ったのも「コロンビア」だったが、これが1994年。2回目が1998年の「ディスカバリー」。すごく昔のような気もすれば、最近のような気もする。つまり、人間の記憶はいい加減なのである。
1981年に有人飛行になってから、実に113回も打ち上げていたのだ。事故が起きれば大騒ぎだが、安全に運行している時はそれほど注目もしない。それが人間の本質なのかもしれない。今回のお話は、映画とは全く関係ないのだが、こういうお仕事について語ってみたいと思う。
というのも、自分の仕事との類似性を感じずにはいられないからだ。私の仕事は、プロジェクトをうまく回していく“何でも屋さん”だ。常に先を見て、全体を見て、リーダーと息を合わせながら仕事を進めなければならない。すごく責任重大だし、口で言うほど簡単な仕事ではない。このようなコーディネートの場合、10の仕事をすると、9の成功では誰も誉めてくれず(グスン)、1の失敗でこっぴどく怒られる。失敗は目立つ。評価者の記憶には、1の失敗が残る。うまく行っている時は、何も起こらない。数字には表れない。だからうまく行って当然のように思われる。こちらのあらゆる配慮と策略によって、うまく行っていることを分かってもらえない。これは、数字をとればとるほど評価されるような営業マンとは、大きく異なるのだ。あぁ損な役回り…。
だからこそ、そういう“日常の安全”を作り出している人々には、感謝の気持ちを持たずにいられない。私は仕事でよく飛行機に乗るが、飛行機にはまさに命を預けている。だから、遅れても、揺れても、我慢する。無事目的地に着くことが一番であって、それに比べたら飲み物がどうとか、免税品がどうの、ということはホントにどうでもいい(当たり前か)。今流行っているTVドラマ『Good Luck!』は航空関係者から見るとウソも大変多いようだが(「こんなのあり得ない!」という話を聞きます)、操縦士や客室乗務員のほかに、整備士という職業の方々にも目を向けさせてくれたという意味で貴重だった。
だから私は搭乗時にいらっしゃる整備士さんらしき人にも、大きな声で挨拶をする。「おはようございます」「こんにちは」そして「ありがとう」。感謝されないからと言って、決して手を抜いてはいけない、そんな仕事の同業者として。
(タナカノアガキ)
これまでに、「コロンビア」「チャレンジャー」「ディスカバリー」「アトランティス」「エンデバー」があったのね。調べると、いろいろ勉強になります。